「故宮文化財南遷記念展」が10月1日から故宮博物院の神武門展示ホールで開催されています。この展覧会では、公文書・文献や貴重な文化財など100点（組）余りが展示され、故宮の文化財の「南遷」（抗日戦争期に戦火を避けるために行った文化財の中国南方への移送）という幾多の困難が伴った歴史的事業を立体的に紹介しています。今回の展覧会は故宮博物院と人民日報「国家人文歴史」雑誌社が主催し、沈春池文教基金会が共催し、故宮博物院公文書館（院史陳列館）と中国移動（チャイナモバイル）咪咕（ミーグー）公司が実施しています。会期は2025年12月31日までとなります。

故宮の文化財の「南遷」は、故宮博物院の経験した苦難に満ちた時期であり、さらに中華民族の抗争の歴史でもあります。抗日戦争の時期に、故宮の文化財は華北地方から東南へ、さらに西南の諸省へと移されました。20年余りにわたる長い歳月の間に、雄大で壮麗な宮殿と楼閣から中国人と外国人が混在する租界の洋館へ、そして鉄筋コンクリートの収蔵庫から軍民が共に守る山奥の洞窟や田舎の野外に建てられた祠堂へと、数万里にも及ぶ道をたどりました。艱難辛苦の戦争時代に、中国文化の根源と命脈を守り抜いた社会各界の志士仁人たちは、数多くの感動的な物語を残し、貴重な歴史的記憶となっています。