寧寿宮庭園の一般公開および特別展「花開く芸術性と匠の心——寧寿宮庭園の歴史と保護」の開幕式が、2025年9月29日に故宮博物院で開催されました。中国、アメリカ、フランスなどから集まった文化遺産保護分野の専門家や学者100人余りがこの重要な瞬間を共に見届けました。

寧寿宮庭園は「乾隆庭園」とも呼ばれ、紫禁城の寧寿宮区（現・故宮博物院珍宝館）の北西隅に位置します。この庭園は、乾隆帝がその晩年を過ごすための理想の居所として作った場所です。面積は広くないものの、独自の工夫が凝らされています。南から北へと四つの中庭に分けられ、趣の異なる27棟の建築物が配置されています。中国の南方と北方の庭園芸術の精華を融合し、文人の風雅な趣と皇室の風格を兼ね備えたこの庭園は、中国はもとより世界の古典庭園史上においても重要な地位を占めています。

故宮博物院とワールド・モニュメント財団は、2000年から共同で寧寿宮庭園の保護・修復作業を推進しています。この庭園は、中米両国が文化遺産の保護・価値の解釈・人材育成などの分野で展開する文化交流と協力の模範となっています。

故宮博物院創立100周年記念にあたり、寧寿宮庭園の第一・第二の中庭が2025年9月30日から一般公開されています。同時に、特別展「花開く芸術性と匠の心―寧寿宮庭園の歴史と保護」が、寧寿宮庭園内の遂初堂および東西の配殿で開催され、寧寿宮庭園の歴史的・文化的価値と保護・修復の成果を体系的に展示しています。

今回一般開放された区域では、伝説的な「蘭亭雅集（蘭亭の宴）」に由来する禊賞亭、古い楸の木にちなんで名づけられた古華軒、築山の上にそびえる承露台、そして深い寓意を持つ遂初堂など、趣向を凝らした数々の建築物を鑑賞することができます。これらの建築物は、丁寧な保護と修復を経て、生き生きとした新たな姿でよみがえりました。築山と池泉が巧みに配された景観とうっそうとした古木の間を歩きながら、中国古典庭園の「人間が作ったものでありながらあたかも自然が作り上げた」かのような境地を体験し、18世紀の中国における建築・庭園・工芸美術の卓越した成果を堪能することができます。