場所：武英殿

武英殿は太和殿の南西方向に位置する建築群の正殿です。廊房は書庫および出版機関として使われていました。
明代には皇帝の斎戒（祭祀の前に心身を清めること）の場や、大臣を迎える場所として使われました。また、明代の宮廷画家のアトリエでもありました。
明代末に農民反乱軍が北京に侵攻し、多くの建物を焼き払いました。その後、農民の支持を失って清軍に対抗できなった李自成（1606～1645年）は北京から逃げる前に、無傷だった武英殿で慌てて「即位」をします。その後、満州族の清朝が首都を北京に移して中国全土を支配するようになってからは、武英殿は摂政王ドルゴン（1612～1650年）が国事を処理する執務室となりました。清朝初期には、小規模な儀式を行う場所でもありました。康熙帝の時代（在位1662～1722年）以降、武英殿は皇家文化の中心地となり、木版印刷による書物の修補・編著・出版を行う修書処となりました。ここで出版された本には「殿本」と印刷されています。