「調和する命の輝き――故宮博物院所蔵動物画特別展」が2025年4月30日から、故宮博物院文華殿書画館で開催されています。今回の特別展は6月29日まで2ヶ月間にわたって行われます。この特別展は香港ジョッキークラブが全面的に後援し、公益慈善研究院が単独協賛しています。
この特別展の中国語名称である「万物和生」というテーマは、戦国時代の思想家である荀況(荀子)の『荀子・天論』にある「万物各其の和を得て以て生じ、各其の養を得て以て成る」という一節に由来しています。この言葉は、世のすべてのものがそれぞれの調和によって生長し、それぞれの滋養によって形作られることを意味しており、調和を追求し、秩序を尊重し、包容と共存を重んじる価値観が込められています。習近平総書記は、2015年にフランス・パリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)、2021年に中国・昆明で開かれた生物多様性条約第15回締約国会議の2回にわたってこの一節を引用し、生物多様性が地球を生命力であふれさせる、人類の生存と発展の基礎であることを指摘しました。人と自然の調和的な共生は、エコ文明の構築にとって極めて重要な現実的意義を持っており、生態系の最も重要な一部である動物はその中でもとりわけ核心的な要素となっています。
今回の特別展は、故宮博物院が動物を題材にした絵画分野の豊富なコレクションを初めて集中的に展示する展覧会となります。「百鳥鳴春(春に鳴く百鳥)」「百獣率舞(躍動する百獣)」「百態生霊(生き物たちの百態)」の3つのパートで構成されており、五代から清代までの千年にわたる貴重な作品63組、計117点を厳選し、その題材は鳥獣、草花や昆虫、魚や甲殻類などに及んでいます。その中には、中国絵画の流派「黄家富貴」を代表する作品である五代の画家・黄筌の「写生珍禽図」もあれば、清朝宮廷が所蔵していたなかなか目にすることのできない「鳥譜」「獣譜」もあります。宋代の崔白、趙佶、李迪、林椿から、元代の趙孟頫、任仁発、王淵、盛昌年、そして明代の辺景昭、沈周、呂紀、徐渭、さらには清代の蒋廷錫、華嵒、カスティリオーネ、虚谷に至るまで、動物を描くのを得意とした歴代の著名な画家たちの作品が集められ、豊富な題材、多様なスタイル、数多くの流派の作品が展示されています。絵画技法の面では、色彩が鮮やかで繊細な筆致の工筆画や、輪郭線を描かず直接水墨又は彩色で描く軽やかで飄逸な没骨法、さらには豪放な水墨画もあり、いずれの技法で描かれた作品も豊かな情趣にあふれています。画家たちは動物を描くことで感情を描写し、心境を伝え、民族の特性を体現し、時代の精神を象徴しており、これらの代表的な動物画は中国の伝統文化の重要な構成部分となっています。
飛翔する鳥、疾走する獣、ゆったりと泳ぐ魚、美しく鳴く虫たち……これらの絵で表現された中国伝統の古典的な美意識は、「自然の道」を示しています。今回の特別展は、歴代の画家たちの「天地万物をよく見つめることによって、表現すべき精神や対象物の本質が生まれる」という芸術的追求の反映であるだけでなく、現代のエコ文明構築に対する深い示唆でもあります。多くのご来場の皆様が文華殿書画館の展示ホールを訪れ、歴代の著名な画家たちが描いた動物たちの命の輝きを鑑賞し、時空を超えた命の対話を感じ、人と動物の調和的な共生の美しさを体感していただけることを願っております。
出版物:『調和する命の輝き――故宮博物院所蔵動物画特別展』図録
今回の特別展に合わせて故宮出版社が出版した図録は、一般の方々が読む書物としてご鑑賞いただくのに適しているだけでなく、同分野を専門とする方々の研究・学習の参考資料としてもご活用いただけます。